千年万年りんごの子の感想
愛情深い義両親に育てられながらも、捨て子という生い立ちを幼い頃から知り育った雪之丞は、東京を離れ東北のりんご農家に婿入りする。
ある日妻の朝日が熱を出し、とあるりんごの木から実をもいで食べさせてやった。
しかしそれはおぼすな様という神のりんごであり、村のりんごの豊穣は叶うが食べた女性は1年後神の嫁としてひかれていくのだ。
これは60年前に絶えていた12年に一度の生贄だが、雪之丞がはからずも復活させてしまった。
これに何とかして抗おうとする物語である。
以下、ネタバレ感想です。ご注意ください。
朝日には戻ってきてほしかった。
おぼすな様は朝日によって滅んだし、雪之丞が
おぼすな様の木を焼いても誰も死ななかった。
(60年前、同じように妻を取られまいとその夫がおぼすな様の木の枝を切った時は幼い子どもが100人位死んだ)
雪之丞がりんごの木を焼いてその中へ入って朝日と話し、朝日が神を滅すると決意した。
(朝日は神の嫁になるにあたり、少しずつ人間ではないものに変化しており、人間ならざるものを滅するには人間ならざるものとの考えで)
夫は村の子どもが死ぬとしても妻を救おうとした
普通にやるべきでない、やってはいけないことだけど、あちらの世界に行けて朝日と話せて結果的におぼすな様を滅ぼせたから子どもは死ななかったし12年後のオネリ(嫁入り)も生贄なく無事にすんだ。
60年前の男との違いは切らずに燃やしたこと、自ら焼かれあちらの世界に行こうとしたこと。
これによってあちらの世界に行けたのか
りんごを安泰にしてもらったって12年に一度誰かが連れて行かれるなら、そんなものは絶やさなければならない
でも誰もどうにもできなかったものを雪之丞は絶やした。直接神を滅ぼしたのは朝日だが、その道筋をつけたのは雪之丞だ。
すごいけど、朝日は戻ってほしかった。